四柱推命における甲と十干の関係について解説します。
日干甲の人が命式の他の天干から受ける影響、日干甲の人と他者との相性占い、日干甲の人の行運などを読む際の参考にしてください。
甲は大木を表しますので、大木にさらに大木が集まると林に森にとなっていきます。
甲は甲が重なることを喜び、良い相互作用を生み出します。
甲が集まることを「甲木参天」と言い、天下に尊敬される人物になると言われています。
一方で、甲が忌神となる場合は、注意が必要です。
大木の集団が土地の養分を吸い上げて周囲の環境を破壊しかねません。
仲間や上司がライバルになることを暗示します。
乙は草花やツルなどを表し、甲ほど自立する力はありません。
しかし大木に寄りかかることでいくらでも成長することができます。
乙は甲を頼りにし、甲は乙をお荷物に感じるでしょう。
甲にとって乙が良い影響をもたらすのは、乙が喜神となる場合でしょう。
頑固な甲を乙の柔軟性が補います。
丙は太陽を表し、大木を表す甲にとっても当然大事な存在となります。
甲は薪として火である丙を生み出しますが、丙もまた甲を生み出す反生の関係です。
特に冬や春生まれの甲にとって丙はありがたい存在でしょう。
しかし、暑い夏や乾燥した秋に丙が強すぎる場合は逆効果となって大木が枯れかねません。
なお、伐採を促す庚や、癸があって湿木となる命式ではその限りではありません。
丁はたいまつや暖炉などの人工の火を表し、それを生み出すのは薪を表す甲となります。
基本的に丁は甲頼りとなりますが、甲にとっても樹木としての使命を果たすとともに、燃えることでその価値を世間に知らしめてくれる存在になります。
ですので、甲と丁は相性が良い組み合わせと言えるでしょう。
しかし、丁が強すぎる場合は甲は燃えつくされ何も残らないのでバランスが大切でしょう。
戊は広大な硬い大地を表しますので、大木を表す甲にとって根を張ることは容易ではないでしょう。
その硬さによって根を伸ばすことを阻まれ、戊の乾き具合に疲れてしまうでしょう。
甲にとって戊は財にあたりますが、働いても働いても暮らしは楽にならない無情の財となります。
太陽(丙)が照らせば、大木(甲)は成長しやすくなり、財の流れは幾分良くなるでしょう。
なお、戊が喜神となる従財格の場合はこの限りではないので心配はいらないでしょう。
甲と己は干合の関係ですので、非常に相性が良いでしょう。
己は水分を含んだ柔らかい土ですので、大木である甲は十分に成長することができるでしょう。
本人のためになってくれる有情の財となります。
その反面、作用が悪く出ると己が甲を甘やかしすぎてダメにしてしまうでしょう。
特に秋の木(甲)は冬に向けて伐採しないとけいないのに、根を張りすぎて伐採が阻まれ、無用の長物となってしまうでしょう。
庚は斧や刀剣を表し、大木である甲を伐採できるのはこの庚だけとなります。
庚は適切な形で甲をコントロールすることができ、これを正剋と言います。
そして、忍耐・努力を兼ね備え、礼儀正しく世の中に役に立つ有情の官となります。
一方で、庚が忌神となる場合は、根こそぎ切り倒され物事が根底から覆る恐れが生じるでしょう。
また、甲が水分を多く含む湿木である場合は庚は伐採しにくくなりますので、吉凶どちらの意味も抑えられるでしょう。
辛は小さい刃物や宝玉を表しますので、大木を表す甲を傷つけることはできても伐採することはできません。
反対に強い木(甲)に宝玉(辛)が打ち砕かれる砕玉(さいぎょく)という逆剋の状態になります。
そして、世の中で役に立たない無常の官となります。
しかし、辛の量が多ければ、甲にとって無視できなくなるでしょう。
さらに、甲が根がない等で弱ければ、内面が傷つきやすくなり、反社会的な性質が生じるでしょう。
壬は海や川、湖などの流水を表しますので、甲がいくら大木と言えど流されてしまうでしょう。
ですので、壬は水ですが甲にとってありがた迷惑な存在となるでしょう。
甲に根がなければ水の上に浮かぶ浮木(ふぼく)となってしまいます。
理想ばかりを追及し、現実を伴わない不安定さがあるでしょう。
一方で、壬が喜神にあたるのならば、水面に映る美しい木となり吉作用を生み出すでしょう。
癸は雨や霧のような細かい水分を表しますので、大木である甲が成長するためには必要不可欠と言えるでしょう。
甲にとって癸は母の慈愛のように嬉しい存在でしょう。
その一方で慈愛もいきすぎると、水浸しになり腐木(ふぼく)となって腐ってしまうでしょう。
過保護になるとせっかくの人材や能力をダメにしてしまうということを表しています。
夏生まれの人にとって癸は嬉しい存在ですが、冬生まれの人は甘やかされすぎて弱くなりかねません。